清姫の話。【激情】清姫の流した血の涙

涙を流す清姫 清姫
この記事は約3分で読めます。

澄姫です。

僕は自分自身を情に厚い人間とは思わず、淡白だったり飄々としていたりする方だと思います。客観的な評価はさておき。

恋愛ドラマとか感動の~的な話を見ても何の情もわかないのですが、一方で仁義だったり友情だったり意地だったり覚悟だったりは好きなのでそっちでは泣きます。サマーウォーズとかぼろ泣きしていました。

涙の話

さて、泣くといえば涙

涙には幾つか種類があるようで眼を潤している基礎分泌性と呼ばれる涙目にゴミが入った時とかに洗い流そうとする反射性の涙感情によって流れる情動性の涙があるそうです。

特に、情動性の涙は人間特有の涙だとか

もう一つ涙に関わるお話として、涙は血液から血球を除いた物だったりします。
簡単に言うと、血から赤い部分を除いたのが涙、という事ですね。

更に因むと、鼻血は余りにも溢れすぎると目からも出て来るそうで、こっちは血涙になります。鼻と目が毛細血管でつながっているせいだとか。

ばぐ
ばぐ

生物学ブログ

清姫伝説で表現される感情の話

さてはて、清姫から追っかけられている安珍はさぞかし泣き叫びたい気分だったことでしょう。

後ろから女の子だったり元女の子だったりが追いかけてくるわけですからね。まあ、清姫はもっと泣きたかったと思うので同情の余地はあんまないです。結果道成とはこれ如何に。

清姫伝説の中でも感情を表す言葉は多く出てきます。

例えば清姫が真夜中安珍の元を訪れた際には「安珍は驚いた」とありますし、安珍に逃げられた清姫は「大いに怒った」そうです。今昔物語集ですと、清姫は一旦家に引きこもって死んでしまいますので、その場面では侍女たちが「嘆き悲しんだ」とあります。

そしてなにより、清姫の感情がクライマックスになる場面と言えば鐘に隠れた安珍を諸共焼き殺してしまう場面。恨めし憎しと叫んでも、やはりそうとなるまで愛した男。

深い悲しみか、燃え盛る怒りか、はたまたこれで愛し人を独占できると思う欲望か、矛盾し切った恍惚か。

清姫の流した血の涙

そんな安珍がチーンする場面、清姫が感情を露わにしていると分かる記述があります。

「血ノ涙ヲ流シテ」という一文今昔物語集ほか、法華験記や道成寺縁起に見えます。しかしながら、道成寺縁起以降は殆ど見えず、近年ですと絵本に血の涙と出てくるくらいです。

CHECK【原典】『法華験記』について
CHECK【今ハ昔ノ】『今昔物語集』について
CHECK【転身絵巻】『道成寺縁起』について

血の涙、ともなれば相当な感情であったと分かるでしょう。まさかこんな場面で目のゴミが入ったとか、鼻血を出してしまって目からも出ちゃった、なんてお茶目な清姫ちゃんという訳ではあるまいに。

怒りか悲しみか。
この涙に関しては幾つか考察がされているようですが、「原典の作者が、清姫を悪の女として描くに単純な悪女として決めつけ難い心情があったのではないか」としている人もいるようで、そうだったらいいな、という感情も込めて好きな考察の一つです。

ある種の清姫に題する同情だったんですね。道成だけn(天丼)。

澄姫
澄姫

FGO清姫の第三再臨も目が赤い
血の涙に由縁するじゃなかろうか云々

僕が時々、清姫に涙を流させたいというのはそういう由縁だったりします。
普通の、透明な嬉し涙を流させたい願望。

さて、冒頭で涙の種類についてお話ししました。
清姫が流した情動性の涙は……。

今回はここ迄。御読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。