清姫の話。【絵巻】道成寺縁起絵巻を買いました。

巻物をコロコロするきよひー 清姫の話
この記事は約4分で読めます。

澄姫です。

本を買うのに多用するのはAmazonですが、古い本や専門的な本になると古書店を漁ってみるのも面白いです。全く知らなかった本に出会えたりもする。まあそのせいでお財布の中身がいきなり消し飛んだりすることもあるのですが。

神保町などは不用意に踏み入るとえらい目に遭う。

『道成寺縁起絵巻』を買った話。

見出しだけでもう話の核が終わりました。はい。

清姫伝説の中でも最大級の知名度を(多分)誇る、清姫伝説といえばの絵巻物、『道成寺縁起絵巻』をこの度買いました。やったね。

日本絵巻大成などの、全集で収録されたものであれば記事が上がった現在で三冊ほど持っていますが、それらはすべて書籍の形式なのでページをぺらぺらめくる形になります。絵巻物のページをめくる、とは何やらちぐはぐな気分。

絵巻物はやはり横に開いていってだんだんと場面展開がされてこそ。一続きの物語となるのですが、これを本にしてしまうとページに分割されてしまうので魅力は半減してしまいます。そんなわけで、研究云々を抜きにしても一つは絵巻物の道成寺縁起が欲しかった。

澄姫
澄姫

なので買っちゃった。

今回僕が入手したものはフルカラーではなくモノクロですが、うれしさ満点。

安珍と清姫の出会いと贈答歌

奥付を見ると印刷「大正五年十一月廿五日(廿は二十)」発行「大正五年十二月一日」とあります。大正五年を西暦に換算すると1916年。第一次世界大戦の真っただ中で、夏目漱石の没年にも当たります。

つまり100年以上も前の絵巻物。モノクロの復刊本とはいえ、それなりに古いものですね。どうも大正時代に道成寺で道成寺縁起を復刊する、という動きがあったようです。

僕が入手した絵巻物も「道成寺縁起出版部」が刊行したものと奥付にあります。番地の記載もありましたので調べてみたら丁度道成寺でした。1928年には清姫伝説千年ということで鐘巻千年祭も催されていますし、大正~昭和初期の道成寺は結構活発的だったようですね。

さてさっそく読んでいくとして。

普通の本を読むことと絵巻を読むことの違いとして、絵巻の方は机など平らな場所に広げて読まねばならない、という点ですね。通学通勤がてら電車の中でちょっと絵巻でも広げちゃおうかしら、とはいかないですね。文庫版道成寺縁起が欲しいお年頃。

今昔物語集で我慢するしかない。

横にコロコロと広げていくわけですけれども、絵巻と言うだけあって広げた先から丸まってしまうのが悩ましい。道成寺の絵解き説法では専用の台が使われていましたが、流石にそこまでは持っていないので、片手で抑えつつ片手で広げていくことになる。

文鎮様が欲しい。ぶんちんさまー。

真ん中は蛇になった清姫。右上は文鎮代わりに必死に抑える清姫。

モノクロであってもテンションが上がるというもの。ページをめくって読むのとはやはり違います。清姫が蛇になっていくのも、安珍清姫追いかけっこも全部一続きです。正確には上下巻に分かれているので安珍が道成寺に逃げ込むところでいったん途切れますが、それでなお楽しい。

一つ難点があるとすれば、本は読み終わったならば閉じればよいですが絵巻は巻き戻さねばなりません。これがちょっと時間かかる。ズレないように気を遣わないといけないし。

皆さんも絵巻物を読む機会があったらこの面倒臭さも併せて楽しんでもらいたい所存。

澄姫
澄姫

絵巻物を読む機会、とは。

有名な例の炎上シーン

ちなみに、道成寺縁起絵巻が届いた数日後に『道成寺略縁起』という物も買ってみました。

こちらは大正十一年、1922年のもので道成寺のいわれとか宝物とか、あとは宮古姫伝説と清姫伝説のテキストが載っていました。これも百年物ですね。

多分道成寺が参拝客向けに配布していたリーフレットのようなものじゃないかな、と思います。

古い文献がどんどん増えていく。
気分が上がっていたので、記事はだいぶ落ち着いて書こうと思った澄姫さんなのだった。

今回はここ迄。お読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。