澄姫です。
今日も元気に清姫の話をするとしよう。
前回までは七回に分けて清姫伝説の作品についてお話ししました。
清姫伝説の作品はお話した物が全てではなく、まだまだ沢山あります。沢山あるんだけども一気に話していたら一、二ヵ月、道成寺物が200を数えるほどなのだから下手したら半年間その話だけで終わってしまうので残りは小出ししていく感じで。
道成寺
鐘無き寺の道成寺
さて、今回は清姫伝説の重要な舞台についてのお話でもしましょうか。
その舞台とは、お待たせいたしました「道成寺」についてです。
清姫伝説と言えば道成寺、道成寺と言えば清姫伝説。
知ってる~!!
そしてなにより、清姫伝説終焉の地。
そんなイメージが根付いている道成寺とはどんな場所なのか。話していきましょう。
所在地
先ずは番地から。
所在地を和歌山県日高郡日高川町鐘巻。
住所からも清姫伝説感が出ていますね。昔付近一帯は鐘巻村と称されており、道成寺の別名も鐘巻寺でした。この鐘巻は無論、清姫伝説に因む物でしょう。
現在は残されていませんが、能楽『道成寺』の原型とされる作品も『鐘巻』という題名だったそうです。今は黒川能で演じられているとかなんとか。
時代
さてお次は一体何時頃作られたお寺なのか、というお話。
和歌山県と言えば熊野大社に高野山と古くからある仏閣は多いです。
その中で道成寺、なんと和歌山県内で最古のお寺。建立されたのは今から遡る事1300年前、701年に時の天皇文武天皇の勅願によって建立されたとされます。
その時の逸話が『髪長姫』という女性の物語。それはまたいずれ。
この時建立に深く携わったのが紀道成という人だったそうで、寺の名前はその人が由縁ですね。わかりやすい。
ちなみに701年と言えば、日本では遣唐使とかが居た時代……なのですが当時の中国王朝は唐ではなく周という王朝でした。あの則天武后の時代ですね。それでも遣唐使。唐はのちに復興しています。
あの武則天……
続いて少し仏教的なお話をすると、道成寺の宗派は天台宗という宗派だそうで。
そして本尊は千手観音。手がいっぱい生えているあの人ですね。なお、千手観音は子年の主本尊なのだとか。
拝観料を払えば本堂に入れますので、千手観音は勿論、日光・月光菩薩や四天王などの仏像が見られます。その殆どが国宝であったり県の重要文化財であったりと貴重な物ばかり……。和歌山県最古のお寺は伊達じゃないですね。
境内広い、トイレ綺麗
トントンお寺の清姫伝説
では清姫伝説を絡めたお話をば。
最大の特徴と言えるのが「日本で唯一鐘のない寺」と銘打っていること。
何故鐘がないのか……清姫伝説をご存じであれば理由の一つは分かるでしょう。清姫伝説以降もなんだかんだ不運が続き、現在も鐘はないまま。それを逆手にとって居る、という強かさも見えますね。
ただ、戦争などの事由によって鐘が無い寺は他にもある模様。
本堂では今も住職さんによる絵解き説法が行われており、聞く事が出来ます。面白い語りで飽きさせずに清姫伝説についてお話してくれるのでお尋ねの際は是非。
また、『道成寺縁起』の写本も展示されているほか、安珍と清姫の像であったり歌舞伎で実際に使用された鐘や衣装であったりと盛りだくさん。境内には安珍塚・安珍桜・鐘の跡の他に裏手には蛇塚、門から直進して20分ほど歩けば日高川につくなど史跡も多数。
道成寺で特に僕がおすすめしたいのは本堂に飾られている『道成寺抄』『日高川抄』という二枚の絵です。清姫伝説を描いたものですが、余りの美しさにその絵を見る為だけに幾度も足を運びたいと思わせるほど。
さらに本堂では絵解き本の他道成寺縁起モチーフの栞、DVD、絵本など清姫伝説に纏わる書籍や土産物が多数。お寺までの参道では釣鐘まんじゅうや釣鐘せんべいなどもあるのでお忘れずに。
出来たてほかほかの釣鐘まんじゅうほんと美味しい
そんな道成寺。清姫伝説の聖地の中でもトップクラスにアクセス良好。
JR紀勢本線道成寺駅から徒歩5分もかかりません。案内が多数有るので道に迷う事も無いでしょう。
駅に近く、史跡も複数あり日高川へも立ち寄れ、絵解き説法で伝説の事を聞けて衣装や絵、像なども見れてお土産まで買える……是非一度、道成寺へ訪れてみてはいかがでしょうか?
なんだか道成寺の回し者のようであった。
今回はここ迄。御読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。