澄姫です。
前回の自己紹介は無かったことになりました。良い感じのキャッチフレーズ的あいさつ文を思い付いたら教えてください。ですが、僕といえばこの文句で。締めで使っているから冒頭にはちょっとくどいかな、と思いつつ。
では、清姫の話をするとしよう。
清姫の地元に伝わる清姫の話
今日は清姫の民間伝承の一つ。『真砂伝承』についてです。
この『真砂伝承』は僕が真砂地区に残る清姫伝説を他の伝承と区別するために付けた仮称です。一般的ではないのでご注意を。また、今後もブログ内で同様の伝承を指すのに用います。
真砂という場所の話は前にしましたね。
CHECK【清姫之地元】真砂について
安珍が目的としていた熊野参詣の所謂中辺路というルートの途中にあり、山と山の間を流れる川に沿った小さな集落といったところ。当時の熊野参詣を考えれば宿泊の当てとしては最適な場所だったことでしょう。
そしてこの真砂は清姫の地元である、とされています。是即、安珍と清姫が出会った場所でもあり。清姫伝説の物語が始まった地ですね。
そんな真砂ではちょっと物語の違う清姫伝説が残っています。それが『真砂伝承』です。
真砂伝承という清姫の話
ではそんな、真砂伝承の話をするとしよう。
※真砂地区に残る伝承を合わせて話しています。同じ真砂伝承の中でもやや差異があります。
以下伝承。
ある時、真砂の庄司、清重という男が畦道で黒蛇に襲われている白蛇を助けた。後に清重は訪ねてきた美しい女を後妻として娶り、その間に生まれたのが清姫とされる。
清姫が3つになる頃、安珍という僧侶が熊野参詣にやって来て庄司の家へ泊った。その時戯れに清姫を将来妻にすると言った。以来安珍は毎年熊野参詣の折に庄司の家へ泊り、清姫もそんな安珍と夫婦になるのだと信じて成長した。
清姫が13となった年、安珍に自分を妻として奥州へ連れ帰ってくれといった。安珍は困り果て、帰りに寄ると嘘を言い残して去っていった。この時安珍が嘘を吐いたのは清姫の障子に映った影が蛇の姿をしていて怖くなったからだとも、または純真な清姫を傷つけたくなかったからだともされる。
清姫は安珍を待ったが、何時までも帰ってこない。不安に思った清姫が道行く人に尋ねると、その中で既に通り過ぎた後だと聞いた。何かの間違いだと思った清姫は潮見峠という場所へ向かった。
潮見峠にそびえる、今は捻木の杉と呼ばれる杉に清姫は登り、そこで安珍の後姿を見てようやく自分は裏切られたのだと知った。絶望に打ちひしがれた清姫はそのまま近くの富田川へと入水する。
その後、安珍は道成寺という寺で清姫の怨霊であったり、または清姫の一族の手によって焼き殺されたという。こうして安珍清姫は互いのすれ違いによって、悲しき伝説として後世まで語り継がれたのだ。
この物語は清姫の菩提寺である一願寺の掲示と清姫の墓にある碑石を中心にさせて頂きました。
ほかのとかなり違うね……
清姫の純真さと、安珍のある種真面目さが出ていて優しくも悲しいお話になっている感じですね。正直この話を知って清姫伝説の更なる沼に落ちた記憶があります。
二人には幸せに成ってほしいなぁ……安清……。
『真砂伝承』の持つ特徴と言うのが実は物語の筋とは別にあったりするのですが、この話をすると他の文献の話とも絡めたりしないといけなくなるのでなかなかどうして長くなってしまうのです。そも研究的なお話になりますからね。余談余談。
今回はここ迄。御読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。