清姫の話。【俗伝】真名子村譚について。

水着清姫民間伝承
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澄姫です。

髪の毛っていいですよね。澄姫さんはロングヘアーが好きです。腰辺りまであるとだいぶ好き。膝下まであってもいい。黒髪が特に好きですが、変に色付けしたものでなければ何色でも大抵は好きです。

しかし現実問題、僕も一時期髪を長くしていた時期はあるのですが、髪の毛を洗って乾かすのに時間が掛かりますし、しっかり乾かさないと翌日大変なことになる。他にも前髪が長いと少し下を向くだけで目に被さって来るし、疎ましいものです。

清姫もお手入れが大変に違いない。

清姫の末裔【真名子村譚】

今までメインの清姫伝説の他に、

  • 清姫の地元に伝わる清姫伝説【真砂伝承】
  • 道成寺物の筋【後日譚】
  • 安珍清姫の前世と清姫の出生に関する伝承【前日譚】

をお話してきたと思います。話しているはず。うん。

どの話にも共通して清姫は出てきます。前日譚ならば前世の老婆、後日譚なら怨霊・生まれ変わりの白拍子花子。清姫伝説の物語群とだけあって、清姫がどこかに登場しなくてはお話にならない。

しかしながら今回お話しする伝承に清姫ちゃんは出てきません。不在です。

看板娘不在の清姫伝説が今始まる……。

真名子村譚

真名子村譚、と呼ばれます。真名子は真砂と同じく「マナゴ」と読みます。この村には、清姫の末裔が住むそうな。その村の奇怪なお話。

以下あらすじ。

日高郡真砂村は蛇(清姫)の末裔の住む村と言われている。その不気味さも相まって近隣の村からは婚姻が避けられている。

そのため、同じ村に住む者同士でしか結婚が出来なかった。真名子村では一世代に一人、必ず美女が生まれる。

その美女は長い黒髪を持っており、五月の頃になると髪が粘り気を含んで、櫛が通らなくなってしまうほど。

この女性は同じ真名子村の中でさえ結婚が出来ず、生涯独身でその身を終えるそうな。

高田衛「女と蛇」より澄姫要約

以上、たった数行でまとめられる程度の非常に短い物語です。

これが【真名子村譚】と呼ばれるものです。相当に認知度が低いので呼ばれているかは定かでないとして。そう呼称される例が有ったので、倣っておきます。

堕落した蛇と差別

だいぶ暗い物語ですが、本筋もストーカー心中殺人みたいなものですので今更清姫伝説の陰鬱さを気にしてはいけない。

今までの清姫の話を読んで記憶している方は違和感を覚えたかもしれませんが、真名子村の所在地が日高郡となっています。これは道成寺のある場所ですね。一方、清姫の地元は牟婁群です。

つまり、清姫の地元ではないのです。

けれども清姫の地元の方の真砂にも似たような物語はあり、清姫の一族には代々女性が生まれて婿取りをしていただとか、生まれる女性がみな大変な美人であっただとか。

昔も今も、真名子村という村は存在しないそうです。つまりあくまでも伝承に過ぎません。となると別のなんやかんやが清姫の話と結びついて、清姫の末裔話となったと考えるのが自然でしょう。

では別のなんやかんやとは何か。大きく分けて2つあります。蛇が神聖を失ったことと、道成寺近辺に村単位での集落差別があったということ。

集落差別はそのままですね。あの村はやめておけ、近づくなとされていた。それが「あの清姫の末裔だから」という話に発展したわけです。

もう一つの蛇が神聖を失ったということ、ですがややこしいのですごく簡単にまとめていくと、大昔は神様のごとき扱いを受けていた蛇(水神など)に悪しきイメージがまとわりついて、嫌悪の対象となっていった、ということです。

真名子村譚と何の関係があるの、と言えば当然長い黒髪が粘って固まれば蛇の様。同時に角のようにも見え、そのまま清姫をも連想させたんですね。固まった髪の毛が角に見えるお話は橋姫とかがそうらしいです。

蛇が神様から忌まわしきものに転落した要因は様々でしょうが、清姫の存在もありました。清姫伝説は仏教的な観点から女という悪を描く物語でもありますが、その悪のイメージが蛇にもうつっちゃったんですね。

更に、蛇が神から忌まわしきものになってしまうとその蛇を神様として信仰していた人たちは悪魔崇拝に近い状態になってしまい、遠ざけられてしまいます。それがそのまま差別へと繋がるのは道理でしょう。村差別の話と繋がってくる。

真名子村譚は元々そこにあった村差別が清姫伝説や蛇の概念と結びついて生まれた物語です。安珍を殺した後の清姫が新たな男を見つけて子孫が生まれた、という話では残念ながらなかった。

真砂の方はあくまでも清姫の一族の話になるので、多分清姫の兄弟か何かが頑張ったんでしょう。

因みに、安珍の地元では安珍の子孫若かりしとき熊野に行くべからず、という話もあったそうですが、安珍子持ちなんですかね。清姫もっと怒りそう。

蛇というシンボルの話をしようとするとこんな感じにややこしく長くなってしまいます。清姫が蛇になっちゃったんだもの、仕方ない。

今回はここ迄。御読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。