澄姫です。
清姫伝説の作品紹介四回目。
今回は『日高川草紙』という御伽草紙について。
日高川、と聞けばなんとなく清姫伝説を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
日高川(ひだかがわ)は、和歌山県中部を流れる二級水系の本流。(wiki引用)
道成寺があるは日高川の先、清姫が日高川にざんぶと飛び込めばすっかり大蛇に変りはて。
そんな日高川の名を冠する御伽草紙こそ、『日高川草紙』なのです。
日高川草紙のあれこれ
概要
ではいつもの如く概要から。
『日高川草紙』ですが、異本と呼ばれるものが多数存在します。
先に異本とは何か、についてお話ししましょう。凄く簡単に言うと、「同じお話を描いているけど描き方が違う本」ということです。
ほう
『日高川草紙』の異本は複数確認されており、『賢学草紙』や『ひだか川』がそれにあたります。
異本とは言っても同じ物語を描いている事に違いはありませんから、内容は殆ど変わりません。
『日高川草紙』は一巻本ですが、『賢学草紙』は二巻本だったりとする点から異本である、と見て良いですね。
因みに、前回ご紹介した『道成寺縁起』も数多くの異本の類が残されています。調べてみると結構な数が出てきますよ。いろいろな顔の清姫さんがみられて楽しいです。
作者についてですが……やはり不明です。写本(書き写した物)の作者は分かっていますが、元本の作者は不明。
一方の成立年。こちらも不明……ではあるのですが、行方が分かっていない『日高川草紙』が1400年に出来たものである、と記されているのです。1400年となると、『道成寺縁起』よりも古いと考えて良い……ともなり。
『道成寺縁起』と『日高川草紙』の関係性についてはこれまた(相当)長くなってしまうので割愛。そのうち好事家向けの記事で書きます。この辺は考察するのが凄く楽しい辺りなので。
たのしみね
御伽草紙な清姫伝説
さてさて、そんな『日高川草紙』とそれら異本の清姫伝説について。
物語の筋は一般的に流布されている清姫伝説とはやや異なりますが、おおよそ同じで清姫伝説の一つとされています。「御伽話版清姫伝説」と認識して頂ければ。文献に残る清姫伝説よりも民間伝承に近い形式であると言えます。
主に物語の前半部分が結構違ったり、登場人物も清姫はそのまま「姫」として登場し、安珍は「賢学」として登場します。清姫が姫姫しているので、ぜひご覧あれ。可愛いよ。
そしてこの賢学さん。クズです。安珍が嘘を吐いて逃げたのが可愛く思えるほどにクズです。安珍は(嘘を吐いたこと以外は)良い奴なのですが賢学はクズもクズ……。
これもまたいずれ……。
『日高川草紙』はなかなか目にする事が難しく、内容についても広く出回っている訳ではありません。けれども、他の清姫伝説にはない、日高川草紙なりの魅力があります。またその折に。
色々な話を後回しにしている気がするけどちゃんと書くよ!僕嘘吐かない。
僕は黒焦げ
今回はここ迄。御読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。