澄姫です。
本屋に行くたびに本を無計画に買ってしまうので積み本がどんどん増えていきます。
漫画であれば空いた時間にぱっと読めるのですが、小説本ともなるとそうはいきません。本棚に入らない小説は床にそのまま置いているものもあるので、本棚を増やしたいのですが部屋が狭く……このままでは寝るところすらなくなりそう。
余談余談。
物語の変化のちょっとしたお話
さて、古今東西、物語というのは姿や方式を変えて描かれることがあります。
上で触れた小説も物語の初めだったり、姿を変えた一つの形式だったりしますね。
例えば中国は後漢の時代、魏・呉・蜀の三つ巴となっていた頃があります。世に三国志と言われる時代ですが、長い時代の中で幾度も描かれてきた事は分かるでしょう。それは小説もあれば近年は漫画・ゲームに至るまで。
それは津々浦々の神話もそうですね。ギリシャ神話を下地に置いた作品、というのは世に溢れていますし、所謂そう言った神話的モチーフを取り扱う作品と言うのは多いです。何を持ってモチーフとし、何を持って神話が発端であるかという話をし始めるとキリが無いので一旦打ち止めとして。
にわとりが先
安珍清姫伝説の色々な姿
つまり、一つの物語が再び描かれる、ということは珍しくありません。
清姫伝説であっても同様に。
一番分かり易いのは『法華験記』と『道成寺縁起』でしょうか。基本的な物語そのものは焼き直しですが、説話集と絵巻物では大きく語りが違いますし、描かれ方や内容にも差異が見られます。しかしながら何方も清姫伝説が元である事に変わりはありません。
CHECK 【原典】『法華験記』について
CHECK 【転身絵巻】『道成寺縁起』について
筋自体は異なりますが、清姫伝説を下地にしているという点では道成寺物もそうですね。演じるということに焦点を当てた清姫伝説です。
FGOの清姫は現代型の清姫伝説、若しくはその解釈と言えるにょろ
ゲームという形式で描いた清姫の物語なのですにょろ
え!?
清姫伝説の小説の話
さて、ようやく今回の本題。
生まれてから千年程の清姫伝説、多くの派生作品が生まれたのは今までにちらほらと話していたようないなかったような。ともあれ、清姫伝説をもとにした非常に多くの作品が生まれています。
そのなかで多くの小説作品も生まれました。主に明治維新以降ですが。伝説を一つの読み物へと昇華させた、清姫伝説の小説をご紹介。
今回は紹介だけなので、一つ一つについてはまた別途。
清姫
作者は大岡昇平。1952年発表。
原題は『清姫異聞』。清姫伝説の内容を踏襲。
大岡正平全集の他、怪奇・伝奇時代小説選集6にも収録。
恋の清姫
作者は橋爪彦七。1954年発表。
清姫伝説の内容を踏襲。
怪奇・伝奇時代小説選集6収録。
新釈娘道成寺
作者は八雲滉。1993年発表。
道成寺と付くが清姫伝説の内容を踏襲。
怪奇・伝奇時代小説選集6収録。
日高川
作者は有吉佐和子。1966年文藝春秋より出版。 清姫伝説をモチーフとした物語。
道成寺
作者は西口克己。1977年東邦出版社より出版。
仏教的観念が多め。
清姫物語
作者は大路和子。1983年発表。翌年PHP文庫より出版。
清姫伝説の純愛小説……だけど僕はあまり好きじゃありません。
銚子娘道成寺
作者は田中幸次郎。1971年上巻、1977年下巻(やや不鮮明)。
千葉県の銚子に伝わる清姫伝説の内容を踏襲したものらしいが、澄姫さんは読んだ事が有りません。欲しい。
清姫
作者は名知霞川。1912年綱島書店より出版。
清姫伝説の内容を踏襲した小説の中では最古の物と思われるが、作者の詳細不明。
現在は国会図書館デジタルコレクションでのみ閲覧可能だが、一部不鮮明なページ有。
これらの他にも『雨月物語』や『近代能楽集』など清姫伝説に関係する小説や文章の類は存在しますが、今回は小説作品に絞りました。僕の知らない作品があればご一報ください。
手に入り易い……とは言えませんが、読んでみると結構面白いですよ。
今回はここ迄。御読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。