澄姫です。
今、エオルゼアに居ます。
マルチやレイドが苦手&好きじゃないソロプレイヤーなのでMMOの類は余りやってこなかった人間ですが、この度14番目のファイナルなファンタジーにドはまりしています。解釈が無限すぎて自キャラの沼は深い。ストーリーは遅々として進まず、代わりにスクリーンショットとお着替えを楽しんでいます。
清姫に呪われそうなので異世界の話はほどほどにして、清姫の話しよか。
改めて清姫伝説を整理してみる話
同系統の作品が増えてシリーズ化すると、分類が出来るようになります。
この辺に関しては以前簡単にお話をしました。
区分や分類についての語彙の扱いなどもしているので、ご覧になっていない方は先にそちらをお読み頂けると今回の話が楽になります。
では今回、以前行った分類が本当に適切であるのか。作品ごとの影響関係はいかほどなのか、という話に移っていきましょう。完全な分類は出来ない、というのは何となくお分かりいただけるでしょうか。
小説でいえば純文学と読み物の明確な線引きが出来ないようなものです。
特に伝承の類は伝わる過程で相互に影響を与え合うので、余計にややこしい。
どうやって影響関係を見るかというと、物語のあらすじを構造的に抽出してみるというのが定番ですね。すごく大雑把に言うと起承転結が一致するから影響を受けている、と。
この時、一致しない部分も当然出てきます。それがそれ以前にはなかった新たな部分だったり、逆に受け継がれなかったりする部分になるんですね。
この部分をあれこれ考えるのは非常に研究っぽい。
清姫伝説本筋の系譜 ~元亨釈書まで~
清姫伝説の文献上の初出は『法華験記』次いで『今昔物語集』となります。この2つは影響関係がはっきりしていて、『今昔物語集』は『法華験記』の清姫伝説に若干の加筆が加えられているものの、ほとんど受け継いでいます。
何故って清姫伝説以外の作品も結構『法華験記』→『今昔物語集』に収録されているから。
今昔に収録されている説話はたどれるものがそれなりにあるみたいですね。
さて、一応別作品として『探要法華験記』というものが存在します。これはほぼほぼ『法華験記』と同様と考えてしまって良いと思います。成立は『今昔物語集』と同時代か少し遅い辺りなのですが、『今昔物語集』の影響は受けていません。加筆部分が見られないので。
時代が遅いからってそれ以前の影響を全て受けるというわけではない、というのがよく分かる例になりますね。
更に時代は下って中世、『元亨釈書』の登場です。安珍の名前が初登場ですね。上で言った「新たな要素」になります。表現に違いはあるものの、法華~今昔の流れでしょう。もしかしたら今昔は飛ばして法華からダイレクトに参照しているやもしれませんが。
この辺までは仏教説話と呼ばれる部類で、物語のあらすじも大きな変化がない(つまり表現や名詞の変化にとどまっている)ので良いのですが。
清姫伝説の代表作。あいつは実は研究する上において問題児なのでした。
清姫伝説本筋の系譜 ~道成寺縁起~
清姫伝説の代表作にして集大成。道成寺の名前を冠する、公式オフセット。
何が問題児かといえば、まず物語の筋が一部ガラッと変化します。それ以前の清姫はお家に引き籠りをして蛇になるのですが、『道成寺縁起』からはみなさんご存じ走って安珍を焼き殺しに向かいます。
そして成立年代が不明な事。1400年頃、とは言われているものの同時期に同じ絵巻の『日高川草紙』が成立していることもあり、どちらが先なのかで影響関係が前後します。
もっとややこしいことを言うともしかしたら当時は『日高川草紙』を『道成寺縁起』と呼んでいた、またその逆の可能性もありますよねって
そして何より、だんだんと清姫が安珍を焼き殺すまでが注目され始め、安珍と清姫が法華経によって救われる、という功徳の部分がオマケに近くなっていきます。道成寺縁起ではまだ重要な部分として残ってはいますが。
『道成寺縁起』へは、法華~今昔~(元亨釈書)までの作品は間違いなく取り入れられています。
では新たに清姫が走る場面だとか、絵巻物の構図だとかはどこから入ってきたものなのか?
『道成寺縁起』を作る際の創作と言ってしまっても良いのですが。
例えば清姫が走る、日高川を渡る、という場面が生まれたのは『日高川草紙』が先に成立していた場合。与えた影響とも考えられるし、精霊踊の『日高踊』の影響とも考えられる。
絵巻物の構図に関しては高山寺の『華厳縁起』からの影響がいくつか指摘されています。清姫伝説自体も『華厳縁起』のもとの話となる義湘・善妙伝説からの影響を受けたものではないかとする研究もあって、『道成寺縁起』の周辺はトップクラスにややこしいです。
清姫伝説で研究をするなら一番難関な可能性まである。
まあ僕のメインテーマがそこなんですが……。
結構頭を動かして力が尽きたので今回はここ迄。お読み頂きありがとう御座いました。
ではまた次回も……清姫の話をするとしよう。